暗黒王子と危ない夜


「病院は慶一郎さんに無理やり連れて行かれた。痛くないから大丈夫だって言ったのに」


骨が折れたのに痛くないだなんて、普通ならありえない。

あたしに気を負わせないようにしてくれているのかとも、思ったけれど。



「人より痛覚鈍くてよかった」

「ほんとに痛くないの……?」


「動かしたら少しは響くけど。心配しなくて大丈夫」

「でも、右手が使えないと不便でしょ……?」

「そうでもないよ」



あたしが何を言っても、本多くんはきっと「大丈夫」の一点張りで返すつもりなんだろう。



「それより、これからどうしようか。しばらくは教室戻れないね」



そう言うと、本多くんはゆっくりと歩き出した。



「1限目って現国だっけ。 一緒にさぼろうか、三成にノート取るの頼んでさ」