暗黒王子と危ない夜


え?っと声をあげる暇もなく手を引かれる。

再びどよめきが起こり、一部からは悲鳴に似た声も聞こえた。

廊下に出ると本多くんは左手を離し、静かに息を吐く。



「相沢さんがいきなり立ち上がるから、びっくりした……」

「っご、ごめんなさい。そして昨日も、迷惑かけて……」


「いや謝るのはおれのほう。どれだけ危険に晒せば済むんだって……ね」

「でも、本多くんの右腕が折れたのはあたしのせいだから……」



語尾が弱くなる。



「おれは平気。綺麗に折れてるみたいだし、治ったら今より丈夫になるって言われた」

「……そっか。ちゃんと病院に行って診てもらったんだね。あのあと三成に、本多くんは一人でどこかに行ったって聞いてたから、心配で……」



真っ先に向かったのは、もしかしたらエナさんのところだったかもしれない。

それでも、本多くんが右手の怪我だけで済んで、こうして学校に来ることができてよかったと、心の底から思う。