暗黒王子と危ない夜






次の日。


朝礼中に、教室のうしろの扉が開いた。

そしてその直後。

ざわりと一斉にどよめきが起こる。



それもそのはず。

──入ってきた人物を見て、つき、と胸が痛んだ。



「おい本多……どうしたんだその手」


気安く声を掛けることができない皆の代わりを請け負うように、担任の先生が遠慮気味に尋ねる。

首から吊るされた腕には、白い包帯が何重にも巻かれていた。



「学校で怪我したのか? だったら保険から給付金が出るから、申請できるが……」

「大丈夫です。これはおれが自分で──」

「あの……っ」



遮ったのは、あたしの声。

クールな表情で受け答えをする本多くんを見て、自責の念を感じるあまり思わず立ち上がってしまった。


クラス中からの視線に体がじわっと熱くなる。

どうしよう───



うつむいたあたしの足元に、ふと影がかかる。

手首を掴まれて、その冷たい温度に、はっとした。



「……ああ、相沢さん熱があるみたいなので、おれ、保健室連れていきます」