暗黒王子と危ない夜



「……ああ、灰田な。昔からなんか食えない男なんだよな」


「その灰田って人は、ちょっと違う気がして……。うまく言えないけど、悪い人じゃないのかなって……」


「へえ。七瀬も前に似たようなこと言ってたけどな。今も黒蘭の上の方に居座ってるあたり、ろくな奴じゃないと思うぜ」



たしかに、黒蘭のほうが自分に合っていると言っていた気もするけど……。



「そういや、七瀬と灰田は、共通点みたいなのがあんだよな。そこんとこで妙な仲間意識みたいなのはあるかも知んねぇ」


「共通点?」


「灰田の親父さんは商社の社長だったらしいが、だいぶ前に亡くなってる。トップを失くした会社は、廃業の寸前まで追い詰められて……」



三成は一度口をつぐんだ。それから何かを思い出すように窓の外を見つめて。



「……そのとき、灰田の父親の会社を慶一郎さんが引き継いだんだ」