「あの店、黒蘭と繋がってんだよ。雇われてんのは一般人だし、構成員側も顔出すことは滅多にねぇけど」
なるほど……。
そういうことだったんだ。
カウンターにいた店員さんは恐らく一般人。
黒蘭の人間が現れたから、素直に言うことを聞くしかなかったんだろう。
たとえ、相手が年下の高校生だったとしても。
「会の人間も、高校生のやることなんぞにいちいち首突っ込む暇ねえから、分かってたとしても止めねえんだ。おかげで族の連中は、黒蘭の権力振りかざして好き放題さ」
黒蘭会と黒蘭の暴走族は、あくまで別組織。
そんな話を、たしか前にも聞いた。
「黒蘭ってやっぱり、悪い人しかいないの……?」
「元から全員ヤバい奴ってわけじゃねぇよ。でも今は深川に洗脳されてる奴がほとんどだろうな。常識求めんのは難しいだろ」
会ったこともない黒蘭の総長に、激しい嫌悪感を抱いた。
「そういえば、あのね三成。灰田、って人、知ってる……?」
不意に頭に浮かんだ、人物のこと。



