──え?
ざわ、と心が揺れる。
「……行方不明?」
掠れた声しかでなかった。
「知らなかったのか」
「……お父さんと一緒にいないってことは、知ってたけど……」
── “ おれも父親と離れて暮らしてる ”
昨日それを聞いたとき、あたしの家と同じで別居しているだけなんだと思っていた。
まさか行方が分からない状態だなんて、考えもしなくて。
いったい、どんな気持ちで話してたんだろう……。
「黒蘭が崩壊したあと、いきなり姿消したらしい。誰にも、何も告げずに」
「……そんな、」
「七瀬はずっと捜してんだよ。何か手掛かりになりそうな情報があれば少しは救われるんだろうけど、未だに何も掴めてない」
慶一郎さんからの任務をこなしながら、自分の身を危険に晒してまで本多くんが探しているもの。
それは、お父さんの行方を知るための手掛かり、だったんだ──。