暗黒王子と危ない夜


いやだ……触らないで。

ボタンを外され、輪郭をなぞるように滑る手の動きにぞくりと嫌な刺激が走る。


「ねえ牧野。これ撮ったデータはどうすんの?売んの?」

「んー。それでもいいけど……」



牧野の指先があたしの唇に触れる。



「七瀬くんに送りつけるってのはどう?」


喉をくっと鳴らして楽しそうに笑いながら、ゆっくりと背中に腕を回してくる。



「自分の女が、かつての仲間に犯される姿を見てどんな顔をするのか。見ものだよねえ」


「……。牧野が期待するような反応が見れるとは思えないな。本多クンって基本、感情欠落してるし……俺たちのことを仲間だと思っていたかすら怪しいな」


「その時はその時だ。昔から変わらないねって──人間として欠陥品だって、笑ってあげればいい」



胸元が完全にはだけてしまった。

恥ずかしと悔しさで涙がにじむ。