どういうわけか、力が抜けてしまって。
声を発することもできない。
戸惑っているうちに、自分の体に起きた異変に気づいた。
ドリンクを流し込まれた喉が焼けるように熱い。
心拍数が異常に高くなり、いくら空気を吸っても苦しいまま。酸素を求めて息が上がる。
「答えたくない? じゃあ、しょうがないね」
肩を掴まれて、びくりと体が反応した。
「灰田、もう手を離していいよ。この子には、もう立ち上がる力もないから」
あっさりと手首が解放された。
だけど、牧野の言うとおり、全身から力が抜けてしまってまっすぐ座ることもできず。
拘束が解けた体は、自分の意志とは反対に牧野の腕の中へ倒れていく。
「灰田、カメラ回せ」
そんな声も、どこか遠くで聞いているような感覚だった。
牧野に触れられている部分が異常に熱をもつ。
「せっかく連れてきて、何も得られないなんて嫌だからね。ただじゃ帰さない。深川さんの命令とは違うけど、こっちはこっちで楽しませてもらうよ」
ぼんやりとした意識の中
制服のボタンに手を掛けられたのがわかった。



