あたしに馬乗りになっている男が、その声に反応して、少しだけ手の力を緩めたのがわかった。
「遅かったじゃねぇか。七瀬の女、ちょっと遊んでやろうと思──」
ふと、男の声が不自然に途切れる。
何かおかしいと思った、その直後、あたしの体に激しい衝撃が伝わる。
誰かの体が、あたしにぶつかって……
──"ぶつかって"……?
………え?
目を開ける。
隣に横たわるのは、あたしを拘束してた男の体。
「この子を襲うなんて……ほんと、ずいぶんといい挨拶してくれたね、お前」
落ちてきた声に顔をあげると、そこに立っていた人物と視線がぶつかった。
驚きのあまり固まってしまう。



