それからドリンクを口に含み、背もたれに寄りかかる。
「昨日、エナちゃんが“青藍”の倉庫に来なかった?」
声のトーンが変わった。
口元は笑っていても、目付きは鋭く、あたしを射抜いてくるよう。
ふわふわのミディアムボブ、セーラー服を着た……女の子。
思い出すと胸が痛む。
「昨日ね、深川さんに黙って出ていったきりまだ帰ってきてないんだ、あの子。おそらく、本多七瀬のところにでも逃げ込んだんだろうって思ってるんだけど、何か知らない?」
ドクリと心臓が脈を打った。
エナさんがまだ帰って来ていない……。
まさか今も本多くんのところにいるの……?
そう考えれば、今日一日、学校に姿を見せなかったことにも納得がいく。
こんなことで落ち込んでいる場合じゃないのに、昨日の夜からふたりがずっと一緒にいたのかと思うと胸の奥がぎゅう、と狭くなる。
「ねえ、どうなの?」
「っ、あたしは……何も、知らなくて」
「本当に?」
疑いの眼差しが怖い。
震えながら、ゆっくりと首を縦に振る。



