「帰宅部ってことは、放課後は遊び放題だね〜。何か趣味とかないの?」
どうしてそんな質問を投げてくるだろう。
回りくどいことをせずに目的を教えてほしい。
どうしてここに連れて来られたのかわからないまま怯えるのは嫌なのに……。
何も答えないでおこうと思い俯いた矢先、先ほど言われた言葉がふと頭をよぎる。
「……映画を観たり、ショッピングとか」
牧野は相手が黙っているのが嫌いだと、答えなければ犯されると……教えられたから。
あたりさわりのない趣味をあげてその場をしのぐ。
「そっかあ。俺も映画好きだよ。海外のB級サスペンスを漁るのが趣味なんだ〜」
この人の趣味なんてどうだっていい。
早く終わらせたい。
ここから出たい──。
そんなあたしの感情を読み取ったのか、彼──牧野は一度大きなため息を落とした。
「早く本題に入ってほしい? お望みなら、そうしてあげても構わないよ。いくら話したところで、全く警戒心解いてくれなさそうだしね」



