相手がわずかに体勢を変えた。
左手を離したかと思えば、背後をたしかめるように振り返り。
「くそ、あいつら遅ぇな……」
すぐにあたしに向き直ると、にやりと片頬をつり上げた。
「あいつら来るまで、俺とふたりで楽しいことしよ」
「っ、や」
胸元のリボンに手がかけられる。
力任せに引っ張られれば、ブラウスのボタンが外れて肌が露わになる。
抵抗しようにも片手でがっちり腕を抑えられているせいでどうにもならない。
「や、めて……ください」
なんとか絞り出した声は虚しく闇に消えていく。
「っ……、本多く……」
あたしが助けを求められるのは、その人しかいない。
声をあげたところでどうにもならないのは、
わかってる、けど……。



