「……出ねぇのか」
三成が画面を覗き込む。
「七瀬か」
「……う、ん」
「出たくなきゃ出んな。七瀬と話したくないんだろ、だから倉庫出てきたんだろ」
「……」
「 “バイク乗ってて気づかなかった ”。それでいいだろ、俺からも上手いこと言っといてやる」
今日はその言葉に甘えようと思った。
スマホはポケットに仕舞って、本多くんのことを頭から振り払う。
「今日はありがとう。三成は、また倉庫に戻るんだよね」
「ああ」
「そっか。気をつけてね、暗いし」
「おう」
いつの間に着替えたのか、制服ではなく、派手な色のジャケットを羽織っている三成。
バイクにまたがる姿は様になってて、同じ高校生だとは思えない。
「お前も気をつけろよ」
「あたし?」
「土日は一人じゃうろつくな。出かけるときは誰かを一緒に連れて行け。俺でもいーから」
しつこいくらいに心配してくれるから、自然と笑みが溢れた。