「──萌葉。箸すすんでねえぞ」


肘で軽く小突かれて、はっと我を取り戻した。
周りからの視線も痛いほど感じる。



「食欲ねーの? それとも寿司嫌なのか?」

「ううん好き。すごい美味しい……」

「だったら食え。お前細すぎだよ」



今は食事会の最中で、1階にいるメンバー全員でテーブルを囲んでいる。

あたしの右隣には三成くんがいて、左隣の席二つは空いている。
コーラを買いに出て行った中島くんと……本多くんの分。


三成くんとあたしがそんなやり取りをするたびに、メンバーの中から小さなどよめきが起こっていた。


突然、青藍に現れたあたしのことが気になってしょうがないんだと思う。

もしかしたら疎ましく思われているのかも。

あたしのことは気にせずに、好きに騒いでいてくれたほうが楽なのに……。


そんな状況の中


「あ、あの……三成君」


メンバーの一人が恐る恐るといった感じで三成くんに声を掛けた。


「あ?」

「その女……、女性は、三成君のコレっすか?」


小指を立てるその人に、三成くんはすかさず「ちげーよ」と返す。


「黒蘭の下っ端とモメてる最中に七瀬が巻き込んだオンナノコ。連中に目付けられてっから守ってんだよ」