「……っ、…ん」


──熱い、……。


刹那の甘い刺激。

至近距離で視線がぶつかった。


黒い瞳にあっという間に誘い込まれる。

あたしがうつむくと、本多くんはもう一度、下からすくいあげるように唇を重ねた。


「…っ、ぅ……」


表面をゆっくり確かめるようになぞる。少しずつ、角度を変えながら。

息ができるように時おりタイミングをつくってくれるけれど、緊張で思うようにいかない。

酸素が回らずに頭がぼうっとしてくる。



「ほん、だ…くん」


繋いでいる手に力がこもった。


「……“七瀬”でいーよ」


落とされた声に、胸の奥がじわりと熱を持つ。


苦しいのに、変だ。

離れたくないなんて……。