本多くんがきょとんと首を傾げた。
桃香や伊代には「高嶺の花」という言葉で、よくいじられてきた。
でもそれは、あたしが男の人と接するのが苦手だったり、
初対面の人とうまく話せないせいで周りから距離を置かれることを皮肉的に表した言葉であって……。
「まさか、気づいてない?」
「え……」
「クラス中の男が相沢さんのこと狙ってるのに」
「そんな、わけ」
学校生活で、異性に話しかけられることはほとんどない。
女子だって必要がない限りあたしに話しかけてこないし、話すときは必ず遠慮が伝わってくる。
裏では女子から「性格悪そう」とか「周りの女子を見くだしてる」とか言われているのも、桃香たちから教えてもらった。
それでも、クラスでキャラの立つ桃香と伊代が側にいてくれるおかげで直接的な嫌がらせは受けたこともなく。
ふたりが仲良くしてくれるから、大して気にはならなかった……。



