暗黒王子と危ない夜


冷たいものがすーっと喉を通って、緊張でかちこちになっていた体が少しほぐれた気がした。



「毎日こうやってメンバーで集まってるの?」

「毎日ってわけじゃないよ。いつも溜まり場にはなってるけど、ちゃんと集まって食事するのは金曜だけ。次の日学校ないから好きな時間まで騒いでられるし」


そっか……。

言われてみれば今日は金曜日だった。

週末という意識がまるでなかった。

1週間でたくさんの慣れない体験をしたせいかもしれない。



「そういえばさっき倉庫に入ったとき、みんなすごい勢いで本多くんの周りに集まってきて、びっくりした……。あんなに慕われててすごいね」

「おれが月に1、2回しか顔出さないから、ってだけ。毎度大げなんだよ」


「大げさなんかじゃないよ。本多くんを見たとき、みんなすごく嬉しそうだったし」

「はは、そーかな」


「そう、だよ。あたしが、今、独り占めしてるの、申し訳ないくらい……」



口にして、はたと我に返る。

──独り占め。

よくよく考えたら、恥ずかしい表現の仕方だと思う。