暗黒王子と危ない夜


予想もしていなかった言葉に戸惑うしかなかった。


姿勢は悪い方じゃないとは思うけれど、品があるとか、真っ直ぐ生きてるとか。

あたしはそんな立派な人間じゃないのに……。



「その子をこんな風に巻き込むことになるなんて思ってなかった。ここに連れて来るだけでも、すごい悪いことしてる気分」

「っ、あたしは、そんなに褒められるような要素はなにもないから……」


どうしよう、と思う。
そんなイメージとの違いにどんどん幻滅されてしまったら。



「そうだ。確認してなかったけど門限とか大丈夫?」

「え……あ、うん。お母さんは夜中しか帰ってこないんだよね。お父さんも、家にいないし」

「……、そっか」


お父さんが家にいないって言ったのが引っかかったのか、返事がくるまで間があった。

だから、聞かれてもいないことをついつい口走ってしまう。