それでも、手が届くぎりぎりのところまで触れてみたいと思うのは、相手が本多くんだから……なのかもしれない。
「本多くんは、黒蘭に戻りたいって思ってる、?」
「……んー。あの頃は楽しかったけど、もうおれに関係ない場所だし。いい青春過ごさせてもらったなって感じ」
「……まだ、高2だから、青春はこれからじゃ、ないの?」
はは、そうだねって笑いながら。
「あ。そういえば、」
烏龍茶に手を伸ばした彼。
「相沢さんて、中学も地元?」
「えっと……、うん。家が中央区だから、そのまま上がったよ」
「そっか。 おれ初めて相沢さんを見た時、なんか良いとこの私立に通ってそうな子だなって思ったんだよね」
「へっ?」
それってどういう……。
「いつも姿勢正しくて、品があって、おれと違って真っ直ぐ生きてそうだなって。……ずっと思ってた」



