「──相沢さん?」
はっと我に返った。
「どうかした?」
「あ、いや……っ。 中島くん、変わってないね。親しみやすそうな笑顔とか、」
本多くんのことを考えていたと、悟られないように笑顔をつくった。
「本多くんの写真も見ていい? 4組、だよね」
今度はあたしが、そっとページをめくる。
中島くんの隣のクラス。
一つ、前のページ。
えっと、本多くんは──。
探そうとした、瞬間。
目に飛び込んできたものに、ドキリとして。
それと同時、本多くんが息を呑む気配がした。
慌てたように、自分の手を重ねて、本多くんは「ごめん、」と低い声を落とす。
「ずっと仕舞ってたから忘れてた」
見られたくないものだったんだと、瞬時に悟る。
「ソレ、おれが自分でやった。……今見るとやばいね、ふつうにどうかしてた」
一瞬だけ見えたアルバムの中。
ある生徒の顔写真だけが、真っ黒く塗りつぶされていた。
太い油性のマジックで……ぐちゃぐちゃに。



