特別な意味はないのかもしれない。
あたしがここに居やすいように、気を遣わないように口にした言葉なんだと思う。
それでも、あたしの心拍数をあげるのには十分で……。
うまく反応できず、「ありがとう」と小さく口を動かすことしかできなかった。
「……あ。そうだ」
思いついたように本多くんが立ち上がる。
「アルバム見る? 中学の時の」
本棚の前にかがみ込み、一番下の棚から分厚い冊子を取り出した。
「三成は中学違うからいないけど、中島はけっこう写ってるよ」
両手で受け取ると、ずしりと重たさを感じた。
……本多くんの3年間が詰まったアルバム。
「中、全部見ていいの……?」
「うん。お好きに」
「じゃあ少しだけ……失礼します」
くす、と笑う本多くん。
それからパソコンのほうへ戻っていった。
アルバムのページを1枚めくると、まずは校舎の写真。そして校長先生、教頭先生の写真。各先生たちの写真。
その次からクラスごとの名簿と、それぞれの顔写真のページが始まっていた。



