「んで? お前が求めてた情報は得られたのか?」

「残念ながら空振り。要らないから慶一郎さんにあげた」

「そうか。…… 次は手がかり掴めるといいな」

「……そーだね」


三成くんが前を向く。

夕陽に当てられているせいか、ふたりの横顔が寂しげに映った。


ふと、本多くんがあたしを見た。


「慶一郎さんには内緒だよ」


向けられたいたずらっぽい笑顔は、憂いなんて少しも感じさせないから。


「おれの新しいスマホは、経費で落とされることになってるから」


このとき、あたしはまだ、本多くんの本当の苦しさに気づくことができなかった──。