「どうって……。もっと怖い人想像してたから、安心したというか……」
「話しやすかったろ?」
「うん、フレンドリーで助かった」
緊張したのは初めだけ。
コンビニでもさりげなく話題を振ってくれたり、軽い冗談を言って話しやすい空気をつくってくれたり。
好きな女の子の話とかも、聞けたし……。
「……でも、」
知らないうちに口から滑り落ちた言葉に、はっとする。
「……でも? なんだよ」
本多くんと通話しているときの荒々しい声と、市川さんのお店で見た怯えた表情が、ふいに頭をよぎった。
……別人みたいに、見える瞬間もあった。
出かかった言葉を呑み込んで、なんでもない、と首を横に振る。
「そういえば本多くん、昨日は中島くんの家に泊まったの……?」
なるべく自然な流れで会話を繋げようとした。



