そういうことだったんだ……。

三成くんがテスト前に必死に勉強する理由。

頭が特別良いわけじゃない、努力してるんだって。そう言っていたのを思い出す。

好きなことをできる時間は、限られてる……。

心臓をゆるく掴まれたような感覚になった。



「そういや、今日中島も来んの?」


助手席の三成くんが身を乗り出して聞いてくる。



「来る。ていうかもう、倉庫着いてるって」

「早っ」

「せんせー達の会議で4限までだったらしいよ」

「まじか。俺たちもサボればよかったな。 つーか西高、会議多くねえ?」

「しょうがないよ。おれ達みたいな問題児しかいないんだから」



ふたりの会話を聞きながら、流れる景色をぼんやりと見つめていれば、ふとミラー越しに三成くんと目が合った。


「そういや萌葉。昨日中島と、どうだった?」