暗黒王子と危ない夜


一瞬ぽかんとしたかと思えば、すぐに思い出したように「ああ」とうなずく。


「七瀬が行くって言ってなかったか、俺」

「言ってないよ」

「あーそっか、悪い。けど、どうせ今日だけだからな。朝からあいつが付き添うの」



それは……そうだ。
毎朝、通学路でもない道をわざわざ通って学校に行くなんて大変すぎるし。



「明日からは朝は俺が迎えに行く」

「へっ?」

「拒否権ねぇぞ。七瀬が言ったことだからな」

「っ、いやでも色々悪いし……。遠回りでしょ?」

「関係ねえー。車だし」

「車っ? 三成……車にも乗るの?」


何が何だか分からず聞き返せば、お決まりの呆れた顔を向けられた。


「俺まだ17だっつーの」

「う、うん。そうだよね」


大型バイクには無免許で乗ってるくせに、と突っ込みたい気持ちを我慢して相づちを打つ。