慶一郎さんの年齢……。

どのくらいだろう。若くて20代後半とか。
いってても30代前半だと勝手に認識していた。



「何歳、なの?」

「今年でたしか、四十だったかな」

「ええっ? み、見えない」

「それでもトップとしてはかなり若い方だよ」



……四十歳。

慶一郎さんの顔つきを思い出してみても、年相応には思えなかった。

若作りしている、なんて印象も全く受けなかったから、きっと細胞自体が若いんだろうな、なんて。



「おれが知ってるときから、全然顔変わってないんだよね。怖いくらい」

「すごいね。……あ、そういえば、本多くんと慶一郎さん一緒に住んでるって……」



できるだけ自然に話題を繋げてみる。



「うん。でも本当は、おれみたいなのが側にいちゃいけないくらい偉い立場の人だから、秘密ね」

「……黒蘭の総裁だから?」

「うん。下っ端は話しかけることすら許されないくらいの……。そんな人と一緒に住んでるって情報が出回ったら、必要以上に目をつけられる」


本多くんが深いため息をついたのは、ちょうど路地を抜けて大通りの交差点に出かかったところ。

同じ制服を着た人たちがぽつぽつと見えてきていた。


「あの人のお気に入りってだけで、全然会ったことない人からも反感とか妬みを買うよ」