「本多くんはこの後どうするの?」
「用事が色々残ってるから、片付けて帰るよ」
曖昧な言葉でうまく交わされた感じ。
言いたくないのかもしれない、けど。
「もしかして危ない人に狙われてたり、とかしない……よね?」
すると、くすっと笑われた。
「おれに用がある奴はたしかに多いかも」
「……っえ、まさか、ほんとに狙われて──」
言いかけたのと、ほぼ同時。
隣ではっと息を呑む気配がした。
「本多くん?」
「しっ。……静かに」
空気が変わる。
存在を殺すように息をひそめていると、少し奥の方から、数人の話し声が聞こえてきた。



