暗黒王子と危ない夜



「好き……って、それはどういう…」

たった今恋愛の話をしていたからか「好き」という言葉に過剰に反応してしまう。



「本多は、相沢さんの恋愛対象になり得るのかなあと思って」

「っ。急にそんなこと聞かれても、初めて話したのだって最近だし、本多くんのことよく知らないし……」


うろたえ始めるあたしを、涼しげな瞳がまっすぐに見つめてくる。



「よく知らないっていうのは確かにそうだろうけど。好きってのは、なんかさあ、感覚じゃない?」

「……感覚?」

「優しいからとか面白いからとか、明確な理由ができあがる前に、一緒にいたら、なんていうか……漠然と?好きだなって思う。俺はそんな感じ」



……漠然と、好き。
恋愛経験がほとんどないあたし。


でも、気づいたら落ちてるって言葉はよく聞くし。
恋はするものじゃなく、落ちるもの、みたいな。

なんとなくそんな感じなのかなあと、中島くんの言いたいこともわかるような気もして。