暗黒王子と危ない夜


だめだ。恋愛の話を振られると口下手に拍車が掛かってしまう。

これ以上何か聞かれる前に


「中島くんの好きな子って、どんな女の子なの?」


こちらから質問を投げることにする。



「可愛くない女」

「……ん?」

「ムカつくし無自覚に腹立つこと言うし、正直好きでいるの疲れる」

「……」

「でもやめられないんだよ。好きでいることをやめられない」



プシュと音がして、コーラの甘い匂いがふわっと漂った。

一口飲んで「高級車に溢したら怒られるな」とフタをした中島くんは、ちらりと横目であたしを見て。



「……本多のこと好き?」


なんて、唐突に。


ドッ……となにかで胸を突かれたような、そんな感覚。

ドクンドクンと、心臓が早鐘を打つ。