暗黒王子と危ない夜


「もういい。一旦切っていーよ」


中島くんが諦めたように首を振った。


「慶一郎さんが今こっちに車飛ばしてくれてる。待つしかない」

「うん。……あの、ケイイチロウさんって?」



中島くんがさっき電話をかけていた人……。

名前の呼び方からして、目上の人だろうと想像はついた。

三成くんの口からも「ケイイチロウさん」という名前を聞いたことがあるし、本多くんと深い繋がりがある人なのかも。



「慶一郎さん……は」


中島くんは言葉を詰まらせた。


「……元凶」

「……え?」


あまり低く小さい声。聞き取ることができなかった。