暗黒王子と危ない夜


体育館の明かりが見えた。

バレー部やバスケ部がまだ練習しているみたい。

クラス棟と体育館は離れているから、ここまでかなり歩いたことになるはずだけど……時間にしてみれば案外早かった気もする。



狭い廊下を抜けきると、さっき聞いていたとおり、体育館の裏側にある駐車場に出た。

繋いでいた手は自然に離された。



「ここから裏門までは行ける?」

「うん、大丈夫」

「……でもせっかくだし、おれも一緒に行こうかな」


広い駐車場に出て緊張は解けたと思ったのに、鼓動は忙しないまま。