ついには、あたしに背を向けて、誰かに電話をかけ始めてしまった。
「あー……中島です。すみません慶一郎さん。本多のことなんですが──」
話し相手と思われる──けいいちろう、さん。
以前、聞いたことがある名前。
本多くんたちには本多くんたちの世界があって、たぶんそれはあたしの住んでる世界と次元が違うものなんだろう。
ぼんやり思った。
入り込む隙なんてない……。
唇を噛んで、足を1歩引いた。
その矢先。
「───え? 相沢萌葉?」
通話中の中島くんの口から、突然あたしの名前が零れた。
メニュー
メニュー
この作品の感想を3つまで選択できます。
読み込み中…