息を乱した中島くんが、繋がらないスマホを睨みつける。
しばらくすると、おもむろあたしの方を見て。


「ごめん。俺……行くね」


瞳がゆらゆら、不安定に揺れていた。あたしを見ているはずなのに焦点が合ってない。


"行く"って。
本多くんを"助けに行く"ってこと、だよね。

余裕を失くしているこの人を、いま一人で行かせたらだめな気がする。



「待って……!本多くんがどこにいるかわかるの?」

少し間が空いて、

「いや」

と暗い返事が返ってきた。