チッ。と、鋭い舌打ち。
「切れた」
苛立ったようにそう吐き捨て、すぐに通話を折り返す。中島くんの額には汗が滲んでいた。
突然のことに頭が働かないあたしは、その様子を見守るしかなく。
「出ろよ、ふざけんな!」
声を荒らげる彼を見ながら。
──全然、違う人だと思った。
明るくて人の辺りのいい長いくん。
聞いていた通りだったけれど、今の彼は正反対。
「……殺すぞ」
ゾクリとする。耳を疑うほど、その声は冷ややかだった。
口調も目つきも吐く言葉も
何もかも"凶暴"だ。
本多くんと似てるなんて思ってたのが嘘みたい。
目を逸らせなかった。
今はこんなことを考えている段じゃないと
わかっていても──────。