暗黒王子と危ない夜


風が吹いて、わずかに目を細めた彼と視線がぶつかった。


乱れのない黒髪に、シワひとつない制服。

たった数秒見つめただけで、彼の気品の良さが伝わってきた。

けれど、不思議と堅苦しさは感じない。




「えっと、名前なんだっけ」


あたしに向けられた言葉だとわかり、さっと姿勢をただす。



「……相沢です」

「あー、ね。 思い出した。相沢……萌葉だっけ? 下の名前」

「は、はい。そう、です」



本多くんか三成くんから聞いたのかな、あたしのフルネーム。