暗黒王子と危ない夜


また大きなため息。

え……なに?


「いや、……なんでもねぇーよ」


あ、もしかして。

あたしが馴れ馴れしくボディタッチなんかしたから……!



「っあ。ごめんなさい、手……」


顔がじんわり熱くなった。
──その直後。



「あれれ、お取り込み中? 俺、来ないほうがよかったかなー」



少し笑いを含んだ声が耳に届き、はっとして息を止める。


聞き覚えのない声。 だけど響きがどこか、本多くんの声に似ている気がした。

胸の奥をざわつかせるような、あの……。



「よお中島。わざわざ悪かったな、来てもらって」



三成くんが、相手に向かって軽く手を上げる。

あたしは振り向いて、まず、“ 彼 ”の足元を見た。



それからゆっくりと視線をあげる。


心臓が跳ねる。

──この人が…… “ ナカシマ” くん。