暗黒王子と危ない夜


右の肩が痛くなってきてスクバを左の肩にかけなおすと、三成くんが手を差し出してきた。


「持ってやろーか」

「、いや大丈、……」


いつもの癖で断りかけて、思いとどまる。

友達には、素直に甘えたほうがいいって、桃香たちも言ってた……。

見ると、三成くんは荷物を一つも持っていなかった。



「あの、カバンは?」

「俺はスマホと財布あれば問題ねえ」

「……」


チャラチャラした見た目にぴったりの言葉。

だから、忘れてしまうそうになる。三成くんが、学年1位の秀才だってこと。



「なんで三成くんて頭いいの……」

「テスト前に勉強するからだな」


当たり前のこと。だけど予想外の回答。

てっきり、教科書なんて見なくてもわかるとか、天才だからだとか、そんな言葉が返ってくると思ってた。



「三成くんて勉強するんだね」

「しなきゃ取れねえだろ一位なんか。だいたい俺、もともと頭良いわけじゃねーよ?成績がいいだけで」

「それでも……テスト前の勉強だけで一位とるのは、相当すごいよ!」


素直な感想だった。

三成くんみたいな人だって努力をしてることに、ちょっとだけ親近感がわく。



「まあ、要領が良いって自覚はちょっとあるけどな」


首の後ろで手を組んで、目を泳がせた三成くん。
照れてるのかな、なんて思ったけど、口には出さないでおいた。