本多くんの話をしていたはずなのに、気づけば三成くんにハラハラさせられている。
この前から気の休まる暇がないよ。
「よく学校のそば走れたね……。見つかったら大変なことになるんじゃないの?」
軽く笑い飛ばされた。
「へーきへーき」
「の、呑気すぎる……」
「いーや。俺は見つかっても大丈夫なんだよ」
「どうして?」
首を傾げると、三成くんはふと真顔になった。
「頼まなくても──“あっち”が勝手に黙っててくれるからな」
声のトーンが落ちた。
“あっち”、ってなに?
意味がわからなかったけど、なんだかもう深くは踏み込めないオーラを感じで黙ることにした。



