アーチャー様はその言葉で動揺する私を見て、フッと笑う。


「なんてな、冗談だ。早く座れ。そんな所に立たれてはゆっくり話もできない」

そう言って向かいのソファーを指さし、座るように促す。


やはりこれだけの美貌を兼ね備えているだけはある。

そんな冗談もすぐに言えてしまうくらい、女をたぶらかすのに慣れているんだわ。

私は若干警戒しながら、向かいに座った。


「さて、じゃあ早速話をしようか」

「……なんのです?」

「アリシアが私を好きになるための話だ」


「どんな話されても、好きにはなりません」

「それはどうかな?必ず気持ちは変わると思うぞ」


それほどまでの自信がどこから出てくるのだろう。

逆にここまで堂々と言われると、呆れを通り越して感心してしまう。

アーチャー様がそこまで言えるのは、その美貌故の経験からか、それともその地位故の特権なのか。


でもね。


私は、外見がどうであれ地位がどうであれ、そんなもので揺らぐ女じゃないのよ。