……そう考えると、やっぱり理解できない。

それほどまでの人が、私を好きになるだなんて、どう考えても信じられなかった。

父がなにを言われたのか分からないけど、それを簡単に信用していいものだろうか。


「では侯爵様、私はこれで。どうぞごゆっくり」

「ああ、ありがとう、ネリベル殿」


父はペコペコと頭を下げながら、部屋を出ていく。

そして部屋には私とアーチャー様のふたりだけになった。



「座らないのか?」

ソファーを近くにして、座らず立っていた私にアーチャー様は声を掛けた。

アーチャー様はソファーの背もたれに手を伸ばし、足を組んで、まるで自分の家のように寛いでいるように見えた。


「アーチャー様が座ってから、と思いまして」

「別にそんなにかしこまらなくてもいい、気にせず座れ。それともあれか?私の隣に座りたいのか?」

「なっ……!」