そう言って父は感慨深く天を見上げる。

対して私は父への怒りでそれどころではない。


たった一日よ!?

それまではお父様も乗り気ではなかったじゃない!!

なのにそんな短い時間で、なぜ正反対の考えに変わるのよ!?


「アーチャー様になにを言われたの!?信用しないで!あの人口も上手いんだから、それに踊らされているだけなのよ、お父様は!」

「……いや、アリシア。あれは侯爵様の本心であると私は受け取った。嘘であんな風には言えまい。それにあんな事実があったとは私も露知らず、アリシアは不幸になるところだったんだ。その前に助け出してくれた侯爵様には逆に感謝しなければなるまい」


父の答えは全て曖昧で漠然的。

確信を話すことはない。


それが私の気持ちをさらに逆なでしていく。


「なにを仰っているのか全く分からないわ!もったいぶらないでいいから、早く理由を教えてちょうだい!」


父にここまで強く言うのは初めてに近い。

ほぼ命令に近い口調。

父に対してとても失礼な行為で、普通であればその後に怒られても仕方がない。


案の定、父は一瞬ムッとした表情を浮かべる。

が、すぐにその表情は普段通りのものに戻り、その後に発する言葉は私のように感情的なものではなかった。



「すまんな、それはおいおい分かる。なにを言ったかについてはアリシアには決して言わないように、侯爵様から念を押されているんだ。だからここで私が言うわけにはいかないんだよ。だが、心配するな。これだけは言える。お前には明るい未来が待っているよ。アリアも喜ぶくらいの幸せな未来がね」