スカーレットとそんな話をしていると、頭ひとつ抜きん出たアーチャー様の顔がこちらを向いた。

ばちりと目が合ったような気がして、胸が大きく鳴る。


アーチャー様との距離はそれほど近くはない。

視力のいい私でも、少しぼやけて見える位置に彼はいる。


最初、目が合ったのは気のせいだと思った。

ただこちらに視線を向けた時に、たまたま合っただけだと。


けれど、アーチャー様はこちらを向いたまま、じっと見つめていた。



それが私なのか、それともスカーレットなのか近くにいる他の人間に対してなのか。

でも何故かその時、その視線は私に向けられているものだと感じてしまった。



思わず視線をずらす。

これ以上彼を見てはいけないと、頭の中で警告を発していた。



「こちらにお顔を向けてくれたわ!横顔も美しいけど正面はさらに美しいわ……!さすが国一番の美男子よね。欲を言えばもっと近くでお顔を拝見したかったけれど」


「……そ、そうね」


「どうしたの?アリシア」


「いいえ、何でも」