――翌日。

朝食を摂り終え自室へと戻ろうとしたとき、父に呼び止められ、話があると応接室へと連れて行かれる。


昨日の不安げな表情とは一転、今日の父はどこかしら嬉しそうな雰囲気を醸し出している。


そんな父に、どことなく嫌な予感を覚える私だった。



「で、お話というのは?」

部屋に入り、お互いソファーに座った所で、私から会話を切り出した。

父はゴホンと一回咳ばらいをすると、話し始める。



「実はな、昨日侯爵様が帰る間際に、ある話をされたんだ。その話に私はいたく感激してな……。アリシアには悪いが、この結婚を受けさせて貰うことにしたぞ」

「え!?」

ちょ、ちょっと待って!?

まさかの発言に、驚いて思わず立ち上がってしまった。

どうして?

父は私の味方ではなかったの!?


「な、なんでそうなるの!?だってお父様……!」

「いや、侯爵様の想いを聞いてな、侯爵様と結婚すれば、お前は誰よりも幸せな生活ができると確信したのだよ。まさかなぁ、あの侯爵様が……」