……断れなかった。
あれだけ強く出れば諦めると思ったのに。
あの人が私を好きだなんて言うから、頭の中が混乱して調子が狂ってしまった。
まさか好きだから結婚を申し込むだなんて、思ってもみなかったんだもの。
それ以上に、あの瞳。
あの瞳で、もうなにも言えなくなってしまって……。
怖かった。
さすがこの国の騎士団長の名は伊達じゃないわ。
あんな目で見られたら、誰でも動けなくなってしまう。
それでも果敢に立ち向かっていける騎士がいたのかしら?
……無理よ。
絶対にあの人に刃は向けられない。
そんな人に私は――……!

