捕まえてごらんなさいっ!~意地っ張り令嬢と俺様侯爵の溺愛攻防戦~


その言葉に、ぞくりと背筋が凍るように冷たくなる。


私を見つめるその瞳は、まるで獲物を狙う猛獣のよう。

その強い眼力と彼全体から放たれた威圧で、私の身体は鉛のように動かなくなる。

……逃げたい。
この場から今すぐにでも、いなくなってしまいたい。

そう思うのに、身体は全く動かない。

息を飲む事さえできなくなるほど、それは強烈なものだった。



「では、次は二日後に。……私の愛する婚約者よ」


そう言ってアーチャー様はフッと笑うと、部屋を出ていく。



扉が閉められ、部屋にひとり残される。


扉の向こうからは、アーチャー様を気遣う父の声が微かに聞こえた。



ひとりになって、ようやく私の身体は解放された。

全身の力が抜けて、その場にへたり込んでしまう。


解放されてもなお、身体中が小刻みに震える。

自分自身を抱きかかえるようにして、袖を強く握った。