捕まえてごらんなさいっ!~意地っ張り令嬢と俺様侯爵の溺愛攻防戦~

と、言いかけてアーチャー様は話すのを止める。

そしてすっと立ち上がった。


立ち上がると、私が見上げなければならないほどに背が高い。

アーチャー様に見下ろされるようにして、思わず視線を逸らした。

私の視線はアーチャー様の足元で泳いでいる。


「また、来よう。もう少し話す必要がありそうだ」

「こ、来なくて結構!あなたがなんと言おうと、私は絶対結婚なんかしません!特にあなたとは、決して!!」


そう言った後、しん、と部屋の中に静寂の時が流れる。

頭の上から痛いほど感じる視線に耐えかね、つい見上げてしまう。



……でも、それがいけなかった。


その瞳と交わった瞬間、ドクリと私の心臓が大きく動いて、その視線から逸らせなくなった。


アーチャー様の美しい顔が、すぐ傍にある。

ドクドクと心臓は激しさを増した。


アーチャー様は、そんな私を見つめたまま怪しい笑みを浮かべる。

そして、こう言った。



「お前がなんと言おうと、必ず私の妻となる。……諦めるんだな」