「いくら私があなたよりも身分の低い人間だからといって、こんな悪ふざけ、失礼にもほどがありますっ!」
あまりにも感情的になってしまい、そう言ったあと、つい泣きそうになってしまった。
涙を零さないように、唇を噛む。
あまりにも馬鹿にしてる。
いくら侯爵様とはいえ、やっていいことと悪いことがあるわよ!
もしかして私が婚約破棄をされた可哀想な女だから?
それを引きずっていつまでも表舞台に出てこないからって、どんな惨めな女なのか申し込みをしがてら私の顔でも拝みに来たの?
そして"結婚"という文字をちらつかせて、私がどんな反応するかを面白がっているの!?
なんて最低な男なのだろう!
こんな人が騎士団長だなんて、聞いて呆れる!!
息を荒くする私を、アーチャー様は少し眉を顰めて見上げていたが、やがて薄っすらと笑みを浮かべると口を開いた。
「どうして、ない、と言い切れる?悪ふざけで正式な手続きをするほど、私も暇ではない」
「でも私はあなたと今まで会って話をしたこともないのよ!?それなのにどうやって私を好きになるというの!」
「それはアリシアが知らないだけだろう?少なくとも私は君を知っていたよ。それはあの――……」

