捕まえてごらんなさいっ!~意地っ張り令嬢と俺様侯爵の溺愛攻防戦~

「……は?」


――思考停止。



目の前の男は、一体なにを言っているのだろう。

誰が、誰を好き、ですって?


「……どういうこと?」


聞き間違えかもしれないと思った。

もしくは冗談だろうと。


しかしアーチャー様の表情は真剣だった。

その表情に、ドキリと胸が大きく鳴る。


「聞こえなかったのか?……おかしいな。ではもう一度言おう。私はアリシアが好きなんだ」



……どうやら聞き間違えではなかったらしい。

私を見つめる視線に耐え切れず、顔ごと下を向く。

俯きながら上手く回らない頭で、必死に考えた。


そんなまさか。

アーチャー様が、私を好き?


どうして?

私のどこに惹かれたわけ?


彼が私を好きになる場面が、今の今まであっただろうか?