捕まえてごらんなさいっ!~意地っ張り令嬢と俺様侯爵の溺愛攻防戦~


***


ふと、目が覚めた。

辺りはまだ暗く、外の闇も深い。

どうやら昔の夢を見ていたようだ。

起きてすぐに不安に駆られたが、隣から聞こえる規則的な息遣いを感じ、その不安は杞憂に終わる。

アリシアはとても気持ちよさげに眠っていた。私に腕に自信の腕を絡ませて。


ああ、なんて幸せなのだろう。

目を開ければアリシアがいる。


隣にいなければ見ることのできない寝顔を、いつでも眺めることができるなんて、これ以上の幸福が他にあるだろうか。


彼女の嬌声を聞けるのも、私だけ。

彼女の体温を直に感じられるのも、彼女の中へ自身の痕跡を残せるのも、私だけ。


そして彼女から発せられる愛の言葉を聞けるのも、今は私だけだ。