それからはがむしゃらだった。

どんな辛いことにも真っ向から立ち向かい、自分の未来のために突き進んでいった。


国を守ることは、彼女……アリシアを守ることでもある。

アリシアの笑顔を無くさぬために、その平和を崩そうとする輩たちを容赦なく倒していく。

いつしか私はこの国でも有数の騎士となり、念願の騎士団長となることができた。


これで、私の目標は達成された。

あとはアリシアを迎えにいくだけとなった。


しかし騎士団長になってからというもの、遠征や争いごとが絶えず、求婚を申し込むどころではなくなっていた。

気が付いたときには、アリシアは既に他の男と婚約をしており、私にはそれを阻むことさえできない状態であった。

そのときの私は――……、それはもう我を忘れるほどに荒れていたと思う。

怒りと悲しみ、そして後悔。

どれだけ忙しくとも、無理にでも会って申し込む時間を作るべきだったと、行動しなかったあのときの自分を恨んで恨んで、恨み倒した。